土曜シアター『雪道』

2020/9/19 30名が鑑賞され、3人に感想を書いていただきました

 慰安婦当事者のお話をもとに作られた映画で、どんな風に慰安婦として働かされることになったのか、今まで文章でしか出会えなかったことに、映像を通して初めて出会えました。改めてさまざまな形で慰安婦となっていく現実、日本人も慰安婦として働いていたことなど細かな描写が私の心にやさしく歴史の出来事を教えてくれた感じがします。
 一番印象に残っているのは、なぜ今頃になって話せるようになったのか、という高校生とのやり取りです。
 私の沖縄の祖父母も私が小さい頃はまだ50~60代、沖縄で「アメリカ―に近づいてはいけない」ことは教えてくれましたが、戦争のことを語ることはありませんでした。それが80代になる頃から、会話の中に少しずつ、断片的な話をしてくれるようになりました。私自身もなぜ今頃になって話し始めるのだろう…と感じていましたが、映画のワンシーンが私のその疑問に答えてくれたようにすっきり胸に落ちました。
 女性にとっては屈辱的なできごとに遭遇しても強く生きている(生きなければならない)姿に元気と勇気をもらいました。
 あまり映画をたくさん観る機会がないので、私の知る範囲ですが、こういう映画は日本では作れないだろうと感じたのと、被害の実相を知らせるだけではなく今私たちが考えなければならないことも合わせて伝えてくれる作り方は、韓国映画ならではなのかなぁと感じました。

 

 良い映画を観せていただきありがとうございました。(大嶺さやかさん)
 「雪道」(イ・ナジョン)見た。私の住む地元の地域ユニオンの土曜シアターでの上映だった。従軍慰安婦問題の映画だ。プロパガンダ映画でなかったらいいなと思って行ったが、さすが韓国映画だと感動した。
 1944年の日帝時代。韓国のある村にヨンエとジョンブンの2人の少女が住んでいた。一人は地主の裕福な娘、もうひとりは貧農の娘だ。彼女らは日本軍によって従軍慰安婦に強制連行される。
 その戦中の酷薄な体験と戦後に生き延びたジョンブンとつっぱて生きる高校生との関係を描いた映画だった。過去と現在が交錯し、ハルモニの過去の状軍慰安婦体験に対する思いがせつせつと感じさせられる映画だった。
(松岡勲さん)
   何と美しい映画だろう。日本軍「慰安婦」をテーマにした映画は何本かみたが、この重たいテーマをこのように美しく感動的に作り上げることが出来るのだ。韓国の映画づくりの奥の深さを感じた。
  日本にいる私たちは  毎日歪められた歴史の中で生活を送っている。歴史は
歪められるんだ。政治権力者は、自分たちに都合がいいように歴史を歪めるんだということを  常に頭の中に持っておくべきだ。正しい歴史とは何かを探し求める態度を身につけねばならない。特に戦争における加害の歴史は歪められやすい。なかったことにしたい人が大勢いる。日本の社会全体が過去の戦争をしっかり清算できていない中で、さらに新しい戦争に向かおうとしていることにブレーキをかけることが
私たち市民に課せられた役割である。
  付録の話だが、映画の中で、植民地朝鮮で行われていた皇民化教育のようすを垣間見ることが出来、興味深かった。本当に  いい映画を見せて頂いた。(吉田昭さん)