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総選挙を戦って 改憲を許さない運動の再構築を

2021/12/1 ユニオン通信52

今回の衆議院選挙は「政権選択」の選挙ではなく、文字通りの「改憲を実現する」のための選挙であったと言わざるを得ません。改憲を許さない運動の再結集が求められています。憲法の理念を実現し労働者の権利を守り労働運動を一層進めていくと同時に、市民活動の結集の努力をしつつ、地域の労働組合をはじめ連合傘下の労働組合にも呼びかけ反改憲の運動をすすめていくことが喫緊の課題です。

 

・第49回総選挙が、10月31日に行われました。ユニオンは大阪9区で社民党公認の大椿ゆうこさん、10区では25年国会で闘ってこられた立憲民主党公認の辻元清美さんを推薦しました。

・私たちユニオンは、9区大椿ゆうこさん応援のために、事前の街宣車運行や延べ4万枚以上のチラシの各戸配布などを行い、選挙期間中は応援はがきラベル貼り、電話かけ、女子トーク参加など事務局の一翼を担いました。

・10区辻元清美さん応援には、ユニオンスタッフ1名を専従で派遣し、選挙運動の中核を担いました。

・しかし、私たちの力及ばず、両候補ともに落選という結果になり、国会における政府を追及する議員を失うとともに、ユニオン運動の要求課題を実現させるための柱を失いました。

・大阪における維新の会の辻元清美ターゲットは徹底していました。解散日含めて30日最終日までに、松井代表、吉村副代表は高槻で延べ6回に及ぶ街頭演説会を行い、「議員と公務員の身を切る改革で高校無償化を行い、国へも広げていく」「解散で188万円のボーナスを得ているが市民感覚から外れている」「何もしない辻元清美ではなく維新の候補を」とワンフレーズを連呼し、市民の劣情に訴えかけ、暴走する自公政権を批判する勢力に分断を持ち込みました。また、大阪9区の大椿ゆうこさんにも、維新の足立康史議員は執拗にツイッターで労働運動を攻撃し公職選挙法に問われる違反行為を繰り広げました。

・選挙前には、「自民党と公明党は過半数割れか」「立憲民主党は150議席に迫る勢い」と新聞マスコミは情勢分析を行い、「政権選択」の選挙と位置づけていました。

・しかし、自公現政権の勝利という結果になりました。維新の会、国民民主党を含め改憲勢力が7割を超える衆議院となり、松井維新代表は「時期来年月の参議院選挙で憲法改正の国民投票を」と述べ、定例の憲法審査会を行うべきだとの声があがりはじめています。

・こうした結果を考察すると、今回の衆議院選挙は「政権選択」の選挙ではなく、文字通りの「改憲を実現する」のための選挙であったと言わざるを得ません。

・また、市民と野党の共同をベースにして選挙を戦いましたが、果して十分な成果を勝ち得たにかどうかについても総括しなければなりません。289小選挙区のうち62選挙区で統一候補が勝利し、あと一歩の選挙区が32もあったことは次への大きなステップにつながり、来年7月参議院選挙の1人区、2人区でも実現しなければなりません。

・しかし、大阪9区の大椿ゆうこさんの獲得した4万2166票は前回の統一候補服部良一さんの4万5千票を下まわったことは、十分な市民と野党との共同が根っこのところまですすんでいなかったと言わざるを得ません。

・戦争できる武力や集団的自衛権行使、敵基地攻撃を可能とする憲法9条、私権を制限できる緊急事態条項の新設など憲法を改悪する動きが顕著になる中、「改憲反対」のすべての市民運動の連携と、各自治体の議員の結集とネットワークが急務です。小異を残して大同につくことができなければ、大阪9区で見られたような選挙結果を乗り越えることができず、結局、維新の勢力をさらに勢いづかせることにつながります。

・私たちユニオンの喫緊の課題は、憲法の理念を実現するため労働者の権利を守り労働運動を一層進めていくと同時に、市民活動の結集の努力をしつつ、地域の労働組合をはじめ連合傘下の労働組合にも呼びかけ反改憲の運動をすすめていくことだと確信します。ともに、頑張りましょう。

 

【寄稿】虎視眈々と国政変革を

西尾慧吾(イェール大学)

・衆院選の結果は厳しい。大椿さんの選挙運動に関わり、日増しにビラの受け取りや、市民からの応援の声かけが増えるのを実感していた分、政権交代を果たせなかったのは悔しい。

・メディアは野党共闘批判に狂乱しているが、私は今回の選挙結果を「野党共闘の失敗」と総括するのは誤りだと考えている。

・茨木市を含む大阪9区は、「生存のための政権交代」を目指し、市民生活の課題に根ざした政策を練り上げた。その政策に市民派野党が賛同し、大椿さんを野党統一候補とする「チーム大阪9区」が作られたのだ。市民・候補者は対等な関係で、大椿さんを通して自らの希望を国政に反映させたいと願う市民の自由意志に基づく選挙運動が出来たのである。市民自治の原則を貫いたことには、自信を持って良い。

・「市民と野党の共闘」の価値の認知不足を解決するには、その具体的成果を積み重ねるしかないと思う。大椿さんも、「未来に繋がる選挙をしたい」とおっしゃっていた。地域の学習会など、市民・地方議員の熟議の場を増やし、それを地方自治に反映させる。この繰り返しにより、「市民自治により自分たちの生活が改善される」との実感を広げることが肝要だ。

・茨木市は6月議会で、「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立てに用いないよう国に求める意見書」を全国に先駆けて全会一致可決した。これは、沖縄学習会・市民陳情・総がかり行動から生まれた「市民と野党の共闘」の貴重な成功事例だ。一市民の抗議の声が、意見書という、国政の横暴への一つのブレーキになったのである。茨木市での成果は、「遺骨土砂問題」意見書運動全国化の追い風となり、これまで100を超える沖縄県外自治体で同様の意見書が可決された。

・選挙結果に驕る自公政権は、地方自治の蹂躙を一層強めるだろう。「遺骨土砂問題」意見書の全国的広まりを完全無視し、辺野古新基地建設を強行していることがその典型だ。現政権は憲法改悪や敵基地攻撃能力保有まで公然と主張し、軍国主義化一辺倒だ。

・選挙結果に一喜一憂している暇はない。「市民と野党の共闘」の日常的実践を続け、現政権の暴走を監視・周知し、虎視眈々と国政変革を狙いたい。

 

【寄稿】大椿ゆうこさんは素晴らしい候補者だ

上林京子(ユニオンスタッフ)

・この度の大阪の結果をみて、腹立たしさ、怒りを通り越して、何とも言えない薄気味悪さを感じたのは、私だけではないだろう。

・「憲法改悪」に関しても、今までは何となく先の話という感じだったのが、にわかに目の前に迫ってきて、心底、恐怖を覚える結果であった。

・それはそれとして、大椿ゆうこ陣営はよく頑張った、と思う。時々、連絡の悪さを感じることはあったが、これはまた次の課題となるだろう。

・私たちは主に、withYOU事務所での電話かけを担当したが、これにも大きな課題が残された。というのは、固定電話がつながらないのだ。つながってもほとんどが老人だし、(もちろん老人も大事な有権者であるのは当然だが、耳が遠くて何度も聞き直されたりし)在宅していても、留守電にして出ない、という家も多いのではないか。SNSは選挙活動が許されているらしいので、そちらの方へ主力を移すということが必要ではないだろうか。

・選挙中の日曜日の24日昼、地域で活躍する女性グループによるリレートークは、日常生活の中から出た本音の言葉が多いためか、ひときわ熱気を呼ぶものであった。最後の市民連合の東京代表の若い女性(菱山南帆子さん)のスピーチはとても力強く「こんな若い人もいるんだ」と、未来への明るい光を感じて嬉しかった。

・大椿ゆうこさんの演説は、声がよく通るし、的を得ていてわかりやすく、一度聞けば誰もが「一票を入れよう」という気持ちになるものだけに、もっと演説の機会があれば、と残念なきがする。昔は候補者が、小学校の講堂などに集まって演説をするという場が設けられていたと思うのだが・・・。

・今回の「野党連合」に関して巷ではあれこれ言われているようだが、この9区としてはこれで闘い続けたいと思う。

 

・それにしても、女性議員が17.1%とは!パリテ(男女同数)なり、クゥオーター制度なりを使って早く何とかしたいものだ。