「障害者優先調達推進法」で、行政の間接的雇用の検証も必要

・ユニオンは、2020年度も、41町への「障がい者雇用の実態調査」を行い分析しました。「障害者優先調達推進法」による実績が障がい者雇用につながっているのであれば、ユニオンとしては、その実態に合わせて庁内、庁外雇用として全体の雇用率を考え、幅広く障がい者の雇用を要求する方向性を見出しました。


障がい者雇用の調査で雇用の底上げを求めました

・2020年9月に行った北摂4市1町の自治体に向けた障がい者雇用に関わる公開質問書は、5回目を迎えました。

・当初の調査目的は、2~3年間隔で実施して経年変化を追跡することでした。そして、自治体の取り組みを比較しながら北摂地域全体の障がい者雇用施策の底上げにつながればという思いで調査を続けてきました。

・今回は、2018年9月に起きた障がい者雇用水増し事件によって策定することが義務付けられた「障害者活躍推進計画」についての質問も取り入れて、質問数は15問に膨れ上がりました。

・自治体からの回答で注目点は、今年の1月から法定雇用率は、地方公共団体において2.5%から2.6%に引き上げられますので、各自治体の雇用率は特に注目しておく必要があります。2020年、会計年度任用職員制度が導入され、従来カウントされなかった職員が計算式に加えられ母数が増えたために雇用率が北摂最下位になった吹田市は、その言い訳にかなり神経質になっていました。

・また、重度障がい者はダブルカウント、週20時間~30時間勤務者は0.5人カウントされていること、障がい種別も精神障がい者、知的障がい者の雇用実態に注目して雇用率の推移を見なければなりません。

・採用試験も、2年前までは身体障がい者に限られていたり、自力通勤という条件がありましたが、制限はなくなっています。ただ、同一の試験が実施されると知的障がいの受験者は採用されにくいので、茨木市は1次試験の筆記試験と2次試験の面接を1回の2回の試験で判断する方式にされていますが、それでも知的障がいの方の採用にはつながっていません。

・庁内実習については、茨木市が一番進んでいて段階を踏んだ機会の提供によるトータル的な就労支援体制をとっています。体験的実習、訓練的実習、短期雇用(3か月)そして「スマイルオフィス」という形のフルタイム勤務雇用の実習体制がとられています。(3人、6か月月額153397円の給料が支給されます。)摂津市において、庁内実習制度はありませんが、「チャレンジオフィス」という名称で1年契約の3人採用、最大3年間勤務、時給999円~1045円支払われます。高槻市は、年間40人受け入れをしていますが、10日程度の勤務で実習ですので、賃金は払われません。島本町も行事での運営補助的受け入れ制度で人数も限られています。吹田市は毎年検討すると言いながら一向に具体化しません。各自治体の取り組みの違いが、庁内実習制度では如実に明らかになってきます。

 

塩田和人さんの雇用を含め、庁外の委託による障がい者雇用の拡大も必要

・もう一点、掘り下げなければならないのが、「障害者優先調達推進法」による調達実績です。2019年吹田市は6318万円、茨木市は1304万円、高槻市が1789万円、摂津市が1775万円、島本町が99万円で物品、役務として障害者団体に提供されています。吹田市の役務の金額が突出していますので、その内容を精査しなければなりません。

・委託した業務先で障がい者雇用につながっているのであれば、雇用率も庁内での数字と別に役所関連予算での庁外雇用という表し方で雇用の拡大の姿勢を評価したほうがいいのではと思います。

・様々な計画作成や評価について、外部団体の意見を取り入れようとする姿勢の有無なども違いがありますので、この調査で明らかになる方法を次回で改善できればと考えています。

 

・また、北摂で実施している調査が他市でも実施されるとそれぞれの地域の課題が明らかになっていきますので、調査地域の拡大をめざしたいと考えています。