過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることの社会

2019-11-27 過労死防止対策推進シンポジウム

産業医の役割 中立性独立性(産業医科大学 宮本俊明)

「仕事をするってどんな意味がある」

・仕事の対義語とは、欧米の労働者の考えでは「遊び趣味 休み 睡眠 自由」の順になっている。

・大企業脳心臓疾患は減少しているが精神疾患は右肩上がり。動脈硬化疾患がリスクが高い。

80時間超で産業医面談必要、36協定で100時間越えは即産業医の面談が必要になる。産業医の仕事は、労使から独立している立場で行う。相談者の納得感モチベーションや仕事の自由度、上司同僚支援、保健指導・治療指導、職場への指導など多岐にわたる。指導助言を聞きいれない企業に対しては勧告も行う。

 

大橋さゆり弁護士

「国際基準のとりくみを」

・厚生労働省労働局の報告でいじめ嫌がらせがうなぎ上り、ハラスメントの被害者に対して誰が責任を負うのか、企業にとって過労死防止が喫緊の課題となっていて、過労死が出ると企業にとってもリスクが高い。

・パワハラの6類型が気づきのきっかけ(身体的、精神的、過大、過少、切離し、プライベート立ち入る)となり、あかるい職場の応援団を参考に社内方針の明確化が必要。場合によっては、外部窓口も考えなければならい。

・カスタマーハラスメント、インターンへの配慮、SOGIハラなど国際基準の先取りも考えていかなければならない。

 

労働局 津田課長
「消費者としての自覚も必要で過大なサービス要求をしてはならない」

・働き方改革で労働時間上限が決まったが、今なお、労働時間が週60時間の労働者が10%(月に直せば80時間)もいる。休暇が取れない実態に加え、上限を超えることがあるのではないか。「有給休暇5日所定労働日に休む、休日はダメ」など36協定を形式的にしない、職場への告知などが大切だ。

・中小企業に過重労働のしわ寄せが行かないように、消費者としての自覚も必要で過大なサービス要求をしてはならない。

 

福岡家族会・あんとくはるみさん

「なんでもかんでも、学校に要望してはいけない」

・福岡北九州家族の会、県立英語教師で2002年過労で脳出血、意識戻らず15年後に死亡、56歳だった。

・この連鎖は止めなければならない、命より大事な仕事はない。

・災害発生したころ、夜通しテスト問題作成、センター試験の応援、授業3時間、放課後女子バレー部活動、三年担任・英語主任、ホテルでの21時からの打ち合わせ、企画進行担当主任は中間管理者なのに、多くの仕事をさせられていた。

・介護と子育て、気の休まる日はなく、公務災害が認められるかどうか気になる日々が続いた。通常の公務であるとして公務災害を退けられたが、その後、同僚や教え子の多くの支援を得て、支部の再検討で認められた。

名古屋で自死した女性の母親

「こころにナイフを突き刺す行為だ」

・娘21歳で職場のいじめて自死。就職後、2ヶ月後から、女性上司の暴言ハラスメント。娘がターゲット。

・海外職員旅行で楽しくおしゃべりしていたことで、その上司は「男に色目を使う嫌なやつ」と言いたい放題。管理者は娘を守ると言ったにもかかわらず、社内で異動させられ、「ザマーミロ」と嫌がらせと暴言。

 

10階から身を投げて自死。
・法テラスの相談から流れが変わり始め、労働災害と認定。一審では認定されなかったが、一審とは異なった控訴審で勝利。会社が上告したが棄却。会社も女性上司も損害賠償金を支払うだけで謝罪の言葉もなかった。
終わりのあいさつ 家族会代表 寺西笑子