1500円の実現迫る好機/労組などが院内集会/最賃を参院選の争点に

CUNNメール通信  N0.1563 2019年6月11日

全国一律制は世界の大勢だとし「地域別なのは日本とカナダ、中国、インドネシアの4カ国だけ

・地域別最低賃金の金額(目安)審議や夏の参院選を控え、最賃の大幅引き上げを求める世論と運動を広げようと6月6日、さまざまな労働組合が集まって、国会内で集会を開いた。参加者は「全国一律で時給1500円実現を迫るチャンスだ」と訴えた。

・主催は、下町ユニオンや郵政産業労働者ユニオン、全国一般全国協などでつくる「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」。

・同委員会事務局の河添誠さんは数年前までは実現困難と思われていた1500円について、共感が集まり始めていることや、参院選に向けた野党4党1会派の共通政策に盛り込まれたことを紹介。

・「今、全国一律で1500円に近づける運動が求められている」と述べた。

・日本以外は国土の広い国ばかりであり、日本が地域別にしている必要はない」と強調した。

・同委員会は参院選に際して各党に対し(1)1500円(2)全国一律(3)中小零細企業への支援策(4)最賃引き上げの手法(5)党の最賃政策――についてアンケートを行い、公表する予定だ。

 

格差とデフレの処方箋

・あいさつした立憲民主党の初鹿明博衆院議員は「地域の人手不足の一番の原因は賃金格差だ。外国人を増やしても都市部に集中してしまい、低賃金が固定化するだけ。

時給千円未満では、まともに生活ができない。労働者を安く使い倒す企業と、それを後押しする政府の姿勢を改めさせよう」と訴えた。

・日本共産党の大門実紀史参院議員は「デフレを打開するには賃金を上げるしかない。最賃アップは政治主導でやれる。米国やフランスで成功したように、中小企業に対して大胆な支援を一気に行うことが必要だ」と述べた。

 

狭い日本で最賃格差?/労組が取り組みを報告

・「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」の院内集会(6月6日)では、労働組合から最賃引き上げの取り組みが報告された。

・生協労連の柳恵美子委員長は「生協の商品は全国同じ値段なのに、なぜ賃金が違うのか」と述べ、各地の時給で買える朝食食材を比較した学習資料を紹介。神奈川の時給1025円では食パンやポークウインナーなど7品買えるが、鹿児島の時給764円ではこのうちヨーグルトとえびグラタン、スイートコーンを断念せざるを得ず、4品にとどまるという。時給額の違いは最賃の影響を受けているためで、全国一律で最賃を引き上げる必要があると強調した。

・全国一般三多摩労組の渡辺香織さんは、東京と埼玉に約100店舗を展開するクリーニングチェーンで働いている。「時給はほぼ最賃額。埼玉は東京より時給が87円安い。店舗間を異動するケースもあり、生活できないからと退職していった人も見てきた」

・東京東部労組メトロコマース支部の後呂良子委員長は、自らの職歴を振り返って「私は失業手当をもらったことがない。時給が低くて、(基本給がベースになる)失業手当ではとても生活できないからだ。せめて次の仕事が見つかるまで安心して暮らせる手当が必要で、そのためにも時給1500円はギリギリの線だ」と訴えた。

 

・わたらせユニオン(全国一般全国協)の嶋田泰治書記長は「地方ではコンビニの時給が地域相場引き上げの足かせになっている」と指摘。5年前からコンビニ本部などに時給アップを要請してきたとし、「低賃金にこだわっているのは中小企業ではなく、コンビニなどの大企業だ」と述べた。