2018/9/15 関西ネット総会&記念講演「働き方改革」とどう向き合うか

2018年9月15日エル大阪で私たちユニオンも加盟している「コミュニティユニン関西ネットワーク」の2018年度定期総会が開かれました。10月に改定される最低賃金を周知するために街宣活動を行うなど当面の活動方針を決めました。
記念講演で、『「働き方改革」とどう向き合うか』というテーマで中島光孝弁護士の講演が行われました。
「働き方改革関連法」の成立とその問題点、「ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件」の最高裁判決が与える影響(講演の要旨)
① 労働時間
・これまで上限規制のなかった時間外労働。改正労基法36条では例外の例外適用で月100時間未満の残業を認めています。ただ、経過措置で上限規制の猶予がある業種(医師・運送)が認められていることは問題。これは法律が過労死ライン80時間以上を容認したことになる。
・例外の例外に対する違反については、雇用主に半年以下の懲役又は30万以下の罰金が科せられることになり、労基署は雇用主を送検できることに。
② 高度プロフェッショナル制度の導入
・内容が未整備であり、曖昧なままの法の成立のため非常に問題が多い。裁量労働制の拡大につながる可能性も高く、対象となる業務も明記されていないません。
・適用要件や業務の基準も曖昧で、対象者の基準を告示で定めるのは憲法27条2項違反の可能性があります。現在1075万以上の労働者を対象としていますが、経団連は400万を射程に入れています。
・対象労働者の「同意」が真意に基づくものであるとの保障できるか。
・さらに罰則規定が無いことが問題である。
③ 同一労働同一賃金
・短時間労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に対して、「不合理な労働条件の設定の禁止」「差別的な労働条件の設定の禁止」「雇用条件の説明を義務付け」を定めています。
・無期雇用労働者については抜け落ちているます。
・ここには「ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件」の最高裁判決が大きく影響しています。すでに弁護士や社労士は、顧問先の企業に向けてこの判決が及ぼす影響についての勉強会を開き、同一労働同一賃金についての対策を始めています。
④ 労働者・労働組合は「働き方改革」にどう向き合うのか
・同一労働同一賃金は、賃金制度改善の大きな対抗策となります。
・正規と非正規の間で、諸手当について合理的な基準になる判断がされていませんでしたが、「ハマキョウレックス事件」最高裁判決にそって、運動をすすめていくことが大切。
・京ガス事件の算定方法を使うことによって、非正規労働者の賃金改善につながります。
・労働時間に罰則規定が入ったことによって、労働時間改善の交渉がしやすくなります。
・使用者の説明義務の法定と最高裁の使用者の主張立証責任を認める判断が、団体交渉を内容のあるものにする。
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