核兵器、なくそう 女優 吉永小百合さん

2018/8/8 機関誌連合通信社(生活文化)

「学校で原爆のことは教わらず、撮影前は当時の惨状を詳しく知りませんでした」

 7月に開催された「被爆者の声を受け継ぐ映画祭」で出演作『愛と死の記録』(1966)が上映された際のトークショーでの発言です。

 映画は幼少の頃に被爆した青年を演じる渡哲也さんとのラブストーリーです。

 「原爆ドームや原爆病院で撮影をしたことが、原爆をテーマした映画に出演し続けるきっかけになりました」

 「夢千代日記」(1985)では、被爆者の主人公夢千代を、「母と暮らせば」(2016)では、原爆で息子を喪った母親を熱演しました。「夢千代日記」は映画に先行してテレビドラマが放映された作品。主人公が死去する映画版のラストは、ドラマのファンにショックを与えたといいます。

 「被爆者の方から『夢千代さんの生きる姿に勇気をもらっていたのに残念』と聞いたことは忘れられない。あれでよかったのか、演じる側のエゴだったのかも…と今でも迷いがあります」

 国連で採択された核兵器禁止条約も話題に。

 「日本が『米国の核の傘の下』にいる方がいいからと、条約を批准しないのは、被爆者の方々にとってつらいことでしょう。核兵器をなくすことが世界平和に結びつくはずです」

 

よしなが・さゆり

1945年東京都生まれ。60年に日活と契約。出演映画に「キューポラのある街」「愛と死を見つめて」など。今春公開の「北の桜守」で出演作は120本となる。