「雇用継続させない」が本音?(1) 

改正地公法の施行に向けて/総務省が自治体に説明

・昨年改正された地方公務員法と地方自治法の施行(2020年4月)に備えるため、総務省が各地で自治体向けの説明会を開き、条例改正に当たっての疑問に答えている。

・その中で、非正規公務員に雇用継続への期待を持たせないようにすべきと、繰り返し強調。少なくない自治体が5年程度の雇用年限(上限)制度を採用していることについてさえ「(長すぎるから)不適切」「避けるべき」と指摘している。

総務省と自治体との質疑応答録(東京都内の自治体分のみ)は、NPO官製ワーキングプア研究会(白石孝理事長)が情報公開請求で入手し、7月22日の「なくそう!官製ワーキングプア」集会で公表した。

 

●雇用と処遇が心配

 ・改正法は、自治体で働く非正規公務員(臨時職員、一般職非常勤職員、特別職非常勤職員など)について、その大半を、新たに設ける「会計年度任用職員」として位置付けるもの。雇用期間は原則1年(再度雇用は可能)で、フルタイム勤務の場合は一時金(期末手当)や諸手当が支給される。労働時間が常勤職員より1分でも短ければパート扱いで、期末手当のみ「支給できる」という制度だ。

自治体は2020年施行に間に合うよう、19年までに条例を改正する必要があり、今年中には労使交渉などを経て内容を確定したい意向だといわれている。

・非正規公務員にとっては、雇用と処遇を維持・向上できるかどうかが、最大の関心事となっている。

 

●既得権発生を警戒

  ・応答録で総務省は、改正法通り「雇用上限は1年」を原則とし、再度雇用(雇用終了後に再び雇うこと、更新とは区別)の場合も、国の公募制にならって「上限3年」とするよう求めている。

・例えば、こんなやりとりがあった。

東村山市「当市の非常勤は5年の雇用年限。改正後に問題となるか?」

総務省「直ちに問題とはならないが、国の制度の『(公募によらない再度雇用が)原則2回まで』を参考に。そもそも、再度の任用(雇用)を約束していることが不適切で、繰り返し任用されても再度任用の保障のような既得権が発生するものではない

・総務省が再度雇用への期待を発生させないことを重視していることが分かる。

・1年を超える場合も、せいぜい3年までとし、短期間で雇用をリセットさせたい考えである。現在、契約更新を重ねながら、長期に働き続けている職員は少なくないが、そうした慣行をなくしたいようにみえる。

 

・同研究会の本多伸行さんは「民間で無期雇用化がテーマになっている時代に、こんな侮辱的な細切れ雇用では、募集しても人は来ないだろう。自治体の採用難に拍車がかかるだけではないか」と批判する。(つづく)