黙認される外国人実習生の奴隷的労働

2018-7-10 特集:外国人労働者の受け入れ拡大~指宿昭一弁護士に聞く~(機関紙連合通信社)

★安倍政権はこのほど発表した「骨太方針」の中で、外国人労働者の受け入れ拡大を打ち出しました。

★外国人技能実習制度の修了者にプラス5年間の滞在を許可することなどが柱。しかし、無権利な労働力として実習生を働かせる同制度は、国内外から問題視されています。

★外国人労働問題に詳しい指宿昭一弁護士に聞きました。

月数万円「ピンはね」

・ 外国人技能実習制度は、発展途上国への技能移転を通じて国際貢献することを目的としていますが、本当の目的は安価な労働力の活用です。

・制度には、日本企業が現地法人などの職員を受け入れる企業単独型と、監理団体が実習生を受け入れて傘下の中小企業に配置する団体監理型がありますが、95%以上は団体監理型。中間搾取や人権侵害が起きやすい構造になっています。

・送り出し国の団体では、1人当たり100万円前後の渡航費用を取り、さらに保証金や違約金契約で実習生をがんじがらめに。監理団体は実習生1人当たり月3~5万円、場合によってはそれ以上を「管理費」として企業から受け取ります。その分は実習生の賃金に影響するので実質的なピンはねです。

 

物を言えない構造

・実習生は技能実習計画の下、同じ職場で一つの技能実習で働かなければならず、職場を異動する自由はありません。「奴隷的労働」「物を言えない労働」といわれるゆえんです。

・受け入れ側が生殺与奪の権を握っているため、使用者の中には奴隷主のように何でもできると錯覚している人もいます。そのため悪質なセクハラやパワハラが後を絶ちません。実習生を見下す制度の構造は、アジア系外国人への差別を増大させる役割を果たしているといっても過言ではないのです。

・国連や米国務省人身取引監視対策部は日本に勧告を出しています。政府は技能実習法を2017年11月に施行し、受け入れ企業や監理団体の管理強化を行う外国人技能実習機構を発足させました。これにより実習生を支援する体制は整えられたかもしれません。しかし、制度の構造的な問題を放置したままの管理強化では、焼け石に水です。

 

正面から移民の議論を

・安倍内閣は、即戦力となる外国人人材の受け入れを拡大する一方で、「移民政策とは異なる」と明言しています。

・そのため新しい方針では、実習終了後の在留上限を通算5年と定め、家族の帯同も認めていません。留学や他の在留資格では可能な家族帯同を禁止するのは異常です。在留期間の上限を設ける必要もありません。労働力は欲しいが、社会保障や教育など、受け入れに伴う負担はしたくないという表れなのでしょう。

・国際的な移民の基準は「その国への1年以上の滞在」。つまり、今日本で働いている128万人の外国人労働者は、国際的な常識では移民なのです。ところが日本政府は移民の存在を認めず、表立った議論を避けてきました。

・72025年ごろまでに、プラス50万人超の実質的な労働者を受け入れるのが今回の方針。欧米諸国同様に、移民について正面から議論を始めるべきです。

 

労組が先頭に立って

・外国人でも日本人でも、労働者の権利と尊厳が侵害されているのに、労働組合が黙って見ているわけにはいきません。外国人というと言葉の壁を意識しがちですが、通訳ボランティアや外国人支援者、外国人を中心とする団体との連携を生かした労働組合の先行事例があります。

・支援や相談業務だけでなく、組合の運動方針や政策提案の中に位置付けて、自らの問題として取り組んでほしいと思います。 

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