無期雇用転換ルールに関する大阪労働局との交渉①

2013年3月31日以前の有期雇用/同一事業所でなければ5年ルールが適用されない?/研究職・教育職は10年の期間が必要?  (2018/2/15労働局見解)

A「2013331日以前の有期雇用がカウントされないのか?」

2013331日より前から始まっている有期労働契約が適用されないのは、現行の法制度上やむを得ない。

② 法改正の必要性については、大阪労働局では直接対応できる事項ではないので、厚生労働省のほうに上申する。

 

B「同一事業所でなければ5年ルールが適用されないのか?」

① 労働契約法181項「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であるということ

② 事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されるもの(2012810日の改正労働契約法の解釈通達では、事業所単位では見ない。

③ ひとつの法人が経営している様々な事業所があると思うが、そこを人事異動で動いたからといって、ひとつの事業所で5年働いていないから無期転換ルールが適用されないわけではない。

 

C「研究職・教育職は10年の期間が必要なのか?」

① 研究職の場合、この有期労働契約の無期転換について、労働契約法上は5年と定めてあるのは、「研究開発強化法」の15条の21項の規定で10年に読み替えるという規定がある。

② 大学の教員の場合、「大学の教員等の任期に関する法律(任期法)」という法律に5年とあるのは10年とするとの規定がおかれている。

③ 研究開発強化法や任期法に基づく10年特例の無期転換ルールが適正に運用されていない、あるいは違法な運用がされているという疑いがある事案については、当該任期付き研究職や教などから調査の要請があれば調査し、結果、労働契約法の主旨、あるいは研究開発強化法や任期法の主旨に反するような運用がなされているようなことがあれば、使用者に対して是正を啓発指導する。

 

④ 研究開発強化法と任期法については所管が文部科学省になっている。法令の改正について必要性があるなど、意見がある場合は、文部科学省の高等教育局がこの法律を所管しているので、そちらに申し入れをしていただくことが必要となる。

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コメント: 1
  • #1

    マスティ (木曜日, 08 3月 2018 16:21)

    本日(3/8)、次のような朗報に接した。
    毎日新聞Web版に『長崎労働局 長崎県立大の無期転換逃れ、認めず』の見出しで、報道された記事は、「繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めにする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。・・・中略・・・雇い止めにする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。・・・中略・・・大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対処する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。・・・中略・・・
    早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回、東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。
    一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。」
    2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、昨年あたりから多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年=5年で雇い止め」に変更するところが多発した。
    このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいた。
    今回、長崎労働局が長崎県立大の「無期転換逃れ」を「社会通念上認められない脱法行為」と認定し、大学側に強い姿勢を示し是正させた意義は大きい。今後、全国の労働局で長崎労働局のような強い姿勢の対応が続けば、他の大学に大きな影響をもたらすものと思う。
    勿論「無期転換逃れ」の問題は大学に限ったことではない。今回の報道は、幅広い職種で契約更新を繰り返す非正規雇用の労働者に「闘うすべ」を示したものでもある。