中央最低賃金審議会は50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきだ!〈日弁連見解〉

CUNNメール通信 2016/7/19日

2016年7月13日 

日本弁護士連合会 会長 中本和洋

 

 ▼最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明/日本弁護士連合会中央最低賃金審議会は、近々、厚生労働大臣に対し、本年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行う予定である。昨年度の改定においては、全国加重平均18円の引上げ(全国加重平均798円)が行われた。

しかし、798円という水準では、フルタイム(1日8時間、週40時間、年間52週)で働いても、月収約13万8000円、年収約166万円にしかならず、労働者が経済的に心配なく暮らせる水準には程遠い。先進諸外国の最低賃金と比較しても、フランスは9.67ユーロ(約1219円)、イギリスは7.2ポンド(25歳以上。約1151円)、ドイツは8.5ユーロ(約1071円)であり、アメリカでも、15ドル(約1688円)への引上げを決めたニューヨーク州やカリフォルニア州をはじめ最低賃金を大幅に引き上げる動きが広がっているのに対し、日本の最低賃金はなお低い水準にとどまっている(円換算は2016年4月上旬の為替レートで計算)。

最低賃金周辺の賃金水準で働く労働者層の中心は非正規雇用である。非正規雇用は、全雇用労働者の4割にまで増加し、特に、女性の割合が多く、若年層で急増しており、しかも、家計の補助ではなく、主に自らの収入で家計を維持する必要のある非正規労働者が大きく増加した。貧困率が過去最悪の16.1パーセントにまで悪化し、女性や若者など全世代で深刻化している貧困問題を解決し、また、男女賃金格差を解消するためにも、最低賃金の大幅な底上げが図られなければならない。

最低賃金の地域間格差が依然として大きいことも問題である。昨年度の最低賃金時間額は、最も低い所では693円(鳥取県、高知県、宮崎県、沖縄県)、最も高い東京では907円であって、その間に214円もの開きがあり、地域間格差の拡大が続いている。急激な人口減少や県外への人口流出により労働供給が大きく減少している地域経済の活性化のためにも、地域間格差の縮小は喫緊の課題である。

政府は、2015年11月、最低賃金を毎年3パーセント程度引き上げ、全国加重平均が1000円程度となることを目指すとの方針を示したが、方針どおり、毎年3パーセントずつ引き上げたとしても、1000円に達するには2023年までかかる。しかし政府は、2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」においては、2020年までに「全国平均1000円」にするという目標を明記しているのであるから、目標を後退させるべきではない。

当連合会は、2011年6月16日付け「最低賃金制度の運用に関する意見書」等を公表し、繰り返し、最低賃金額の大幅な引上げを求めてきたところであるが、2020年までに1000円にするという目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである。

 

▼上記答申がなされた後に各地の実情に応じた審議が予定されている各地の地方最低賃金審議会においても、以上のような状況を踏まえ、最低賃金額の大幅な引上げを図り、地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活を確保すべきである。

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