「アベノミクスの実像」→人口減で求人倍率押し上げ→賃金、物価に追 い付かず→実感乏しい雇用改善

CUNNメール通信 2016/6/23 (共同通信配信)

・「有効求人倍率は24年ぶりの高い水準。47都道府県全てで1倍を超えた。史上初だ」。消費税率引き上げの再延期を表明した1日の記者会見。安倍晋三首相は雇用指標を次々と披露し、アベノミクスの成果を自賛した。

・株価下落や円高進行などで景気回復に陰りが見える中、雇用はアベノミクスの数少ない優等生だ。4月の就業地別の有効求人倍率は各地で1倍を超えた。職を求める人1人に対し一つ以上の仕事があり、働く人に有利な状況だ。完全失業率も3・2%と過去20年で最も良い数字となっている。

・3年連続の高水準の賃上げ、働く人が110万人増え、正社員が8年ぶりに増加。首相は会見や国会答弁などで次々と実績をPRする。

 

▼囲い込み

・4月の有効求人倍率が1・13倍の青森県。特別養護老人ホームを運営する60代男性は「若い人は給与水準が高い都市部の施設にアパートの家賃無料などの条件で囲い込まれてしまう」と嘆く。青森労働局の担当者は、県外への若者の流出で「待機児童はいないが、保育士も人手不足」と話す。
・求人倍率は企業の求人数を、職を求める人で割って算出する。少子化に加え若者の都市部への流出で人口や求職者が減り、地方の倍率を押し上げ、数字が実態以上に良くなっているとの指摘が出ている。

・2015年度の全国の職種別有効求人倍率は介護が2・68倍、保育士などの社会福祉専門職が2・02倍と高く、人手不足が続く。一方、人気の一般事務は0・28倍と狭き門だ。「一部業種で慢性的な人手不足が解消できずに求人を繰り返し、全体の倍率が上がっている」と専門家はみる。

▼団塊の引退

・第2次安倍政権が発足した12年と比べ、働く人が15年には110万人増えたと首相は訴える。しかし実際に増えたのは非正規労働者。15年の正社員は前年比では増えたが12年より36万人減った。

・BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「雇用者の増加は団塊の世代の引退が原因」と指摘する。団塊の世代は12年以降65歳に達し、引退。しかし若い世代の人数は少なく、十分穴埋めできない。そこで短時間勤務の主婦や引退した高齢者らが仕事に就き、1人でしていた仕事を複数で担った結果、雇用者が増えたと説明。雇用増はアベノミクスの成果ではないと話す。

 ▼雇用の改善には結びつかず

・非正規の増加や経済成長鈍化で賃金の伸びは勢いを欠く。物価の影響を加味した15年度の実質賃金は前年度比0・1%減と5年連続マイナス。賃金の伸びが物価の伸びに追い付かず、雇用改善の実感は働く人に乏しい。

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