残業代ゼロ法案・・・ブラック企業促進法

今国会に提出予定

〈毎日新聞2015/3/3〉

 

・一部の労働者を労働時間規制から除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)制度」(残業代ゼロ)など一連の労働関連法改正が今国会に提案される見通しになった。

 

 

 

 

裁量労働制」とは 

実際の勤務時間と関係なく,あらかじめ決めた時間を働いたと みなし、(ある業務でみなし8時間と決められていた場合、2時間余分に働いても賃金は出ない)給与を支払う仕組み.残業代カットの口実として用いられる制度である。

 

 

低賃金でノルマ地獄、ブラック企業合法化

・太陽光発電システムの企画・販売会社の営業職Aさんは法改正を受けて「業務内容も450万円の年収も変わらないから」と通常の労働時間制から企画業務型裁量労働制(労使)への雇用契約の変更を求められ、渋々同意した。

・しばらくすると上司は「会社の業績悪化」を理由にノルマを増した。これまでも毎月80時間前後のサービス残業をしてきたが、ノルマ増加後は100時間を超え、過労からうつ症状を発症した。

★WE制度は年収1075万円以上の「高度プロフェッショナル」だけに適用されるという。「当面、年収450万円のAさんは適用外だが、経団連は05年に年収400万円以上で適用するよう提言しています。いずれ平均的な年収でも適用される恐れがある」。不評な政策は「小さく産んで大きく育てる」のが霞が関の常とう手段だ。

 

【マタハラをいっそう誘発も

・IT企業のコンテンツプロデューサーのBさんは入社5年目に長男を出産、1年後に職場復帰した。産休中にWE制度と裁量労働制が導入された職場には、これまで以上に長時間労働が広がり、深夜勤務が常態化していた。
・Bさんは保育園の送り迎えや家事で、深夜まで働くのは無理だ。上司に業務軽減を訴えたが「あなただけ特別扱いできない」「アルバイトになるか、退職してもらうしかない」などと言われ、心身共に疲労の限界に達して休職。休職期間の終了後、雇用契約の終了通知が会社から届いた。

★WE制度については「時間ではなく成果で評価される働き方だ、と政府は言いますが、それは皆が定時に帰れたり、働き方を柔軟に選べるようになったりして初めて実現される。長時間労働が常態化している状況で時間規制を緩和すれば、働き過ぎを助長し、職場でのマタハラがひどくなってしまう
【高収入ならハイリスクでいいのか】

・東京都内の民間病院の小児科医Nさんは月8回の当直勤務で疲れ切っていた。

・それまで小児科は医師6人体制だったが、上司の定年退職などで3人体制に。

・やがて1人増員されたが、小児科の責任者になったNさんは逃げ場のない過重労働に苦しむ。
・大学時代はサッカー部に所属し、スポーツ好きで明るいNさんも「馬車馬のように働かされている」「病院に殺される」と周囲にもらすように。人員減から半年後、「少子化と経営効率のはざまで」と題した遺書を病院の机に残し、真新しい白衣に着替えて窓から身を投げた。

★全国過労死を考える家族の会東京代表として過労死遺族の支援を続けるのり
子さんは「夫はタイムカードもない職場で当直、夜勤、時間外労働に追い立てられて亡くなってしまった。今になってようやく分かりました。これは導入準備が進むWE制度そのものです。