府立阿武野高校で出前授業「非正規ワークルールとニュースタート」

2020/11/26 ユニオン、阿武野高校へ出前授業

・11月26日、大阪府立阿武野高校3年の労働問題を考える授業の一環として「非正規問題、いきいき働くために」をテーマに出前授業をしました。ユニオンに相談があった団体交渉で解決した非正規問題の事例を説明し、最後に「こもっていた」ユニオン青年スタッフの二人から体験談を話しました。

〈ユニオンの青年スタッフ吉田征司さん〉

・手作りの小さな飲食店から大きなチェーン店へと移った時に、ほとんどの料理が自動化・単純化されていて、人間の感覚よりも決められた時間や手順が重視され、その場で働いている人間は機械の手の届かない事をする歯車のように感じた時です。あなたじゃなくても替りはたくさんいる、あなたは必要とされていないってこと。

・そしてこの社会はみんなが仕事をするってこと以外に自分で自分自身を守らなくちゃいけない。理不尽だけど今の社会はなかなかみんな個人の事は守っちゃくれない。でもそれが今はまかり通っている。だから心の中で違うと感じたことや苦しいことは、声を上げたり助けを求めたりして何とかして自分を守らなくちゃいけない。

・なぜ雇われて働くのでなく、地域で自分たちで働いているか。機械のように言われたことをやって、自分がしたいこととは全く違う仕事をしていることに耐えられなかったからです。だから自分たちで「興味のある仕事」「やりたい事」をやってそれが仕事になってきています、そうすると自分が「やりたいこと」が広がっていきます。

・君たちも苦しい時に助けを求めて探せば、必ず助けてくれる人たちがいるということを知ってもらいたいです、そして助けを求めることは恥ずかしいことでも何でもないから自分を助けてあげて欲しい。

 

〈ユニオンで働く青年堀切哲さん〉

・僕は1987年に地元高槻市で生まれ、「リーマンショック」による「第二氷河期」とも呼ばれる就職難の時代に大学生時代を迎えました。当時は大学を卒業しても正規雇用に就けないことも多く、実際に僕自身も携帯ショップ、バスツアー添乗員など、不安定な非正規雇用を数多く渡り歩きました。人生で一番長く勤めた職場は学生時代のバイト、というぐらい、長く勤められる職場はありませんでした。その頃は東日本大震災の直後ということもあり、「お?めっちゃ稼げそうな派遣あるやん!」と思ったら福島県での除染の仕事、なんてこともあり、流石に命を犠牲にしてまで働きたくないなぁ、とも思いました。

・僕自身が経験したブラック企業の辛さとしては、研修期間は無給で座学をさせられたり、タイムカードを切る10分前から強制参加の朝礼で社訓を音読させられ、声が小さいとやり直しということもありました。

そのような不安定、かつ長時間の労働を余儀なくされると肉体だけでなく精神にも異常をきたすようになり、仕事に行きたくない思いから最寄り駅を通過する快速に身を投げようとも思ったことは一度や二度ではありません。

・このような自身の経験から、「仕事で辛いことがあったら労働組合に相談する」という手段を人生の早い時期に知りたかった、また、若い世代に仕事で悩んだときの解決手段を 知ってほしい、という思いからこの場で体験談を話させて頂きました。

・まず、一人で悩んでほしくないということ。そして、自分が過酷な労働条件になかったとしても、今日の授業で扱ったような労働の問題を他人事として考えず自分にも起こり得る問題として考えてほしい、現代社会でどのような労働問題が起こっているのか広くアンテナを張ってほしい、

というのが、僕から次世代の皆さんに対する願いです。