いじめパワハラ相談・最近の事例

2019/9/4 CUNN全国ネットメール通信   N0.1589

・私たち安全センターや個人加盟の労働組合であるユニオンには、職場のいじめ・パワハラに関する相談が寄せられますが、最近特に増加傾向にあります。

・その原因は様々でしょうが、一つには人権意識の高まりがあり、職場内での嫌な出来事を我慢せず訴える傾向が強くなったことがあると考えます。もう一つは、職場で滅茶苦茶でとんでもないことが起きており、人間扱いされない職場の労働環境の劣悪化が影響し止むを得ず声を上げるということが起きていると考えます。

・最近の相談事例を後掲していますが、とんでもない職場実態や人間関係がいびつな職場環境が相談者の訴えからうかがえます。

 ・この間、いじめ・パワハラ問題に関して受けた相談を、厚生労働省が定義している「職場のパワーハラスメント」の6つの類型、(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)、(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)、(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)、(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)、(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)、に当てはめてみました。職場には様々なトラブルが存在し、数多くのストレスが鬱積していることがうかがえます。

 

 

● 類型別の代表的な相談内容

1)身体的な攻撃

 建築業の仕事をしており、仕事中に社長から注意をされた際、1回目は頭を角材で叩かれ出血する怪我を負い、2回目は蹴られて転倒し顔の眉の辺りに怪我を負った。

 

2)精神的な攻撃

①製造業の入社10年目の正社員。会社で持ち込み禁止の携帯電話を同僚が平然と使っているので、私が携帯電話を使用したところ、上司は全従業員に自分が携帯形態を持ち込んだことを叱責する内容のメールを流した。

また、製品を破損して始末書を書いたところ、上司から「今後は自分で得意先に謝りに行け、損害も自分で払え」という文書を回され、不安で眠れなくなった。

同期の者は全員昇級しており、後輩も昇級していくのに、自分は部署を転々と異動させられるだけで全く昇級がない。

 

②建築業で派遣社員。持病を抱えており休憩から職場に戻ると所長から「査定に響くぞ」「どうなるか分からない」といった発言を受け、朝礼で話すことが出来なくなったり、足が震えるなどの症状が出るようになった。その後、不眠になり体重も5kg減少し、一時は自殺を考えるようになりメンタルクリニックに通院するようになった。

③医療機関で働いている。室長から患者さんの前で「役に立たない」などと酷い言葉を浴びせられ、患者さんからの信頼を無くされた。パワハラの影響で薬の量が増えた。他の男性社員もストレスによる脱毛で悩んでいる。

 

3)人間関係からの切り離し

①金属部品工場に勤務中の派遣社員。毎日配属される部署が変わるのに仕事のやり方を教えてもらえない。派遣元に相談したところ派遣先に伝えてくれたが、職場の上司からの扱いはもっと酷くなった。

 休み明けの場合、前日にどんな作業をしたか分からないのに、上司は「昨日の続きをしろ」というだけで仕事内容を教えてくれない。仕方なく前々日の仕事の続きをすると上司から「何を勝手にしているんだ」と怒られる。

 

②医療機関の正職員の理学療法士。勤務してまだ1年半なのに上司の主任と副主任は仕事をちゃんと教えてくれない。仕事でミスをすると主任と副主任の2人から責め立てられる。

労働局に事情を相談したところ、労働局が院長へ指導を行ってくれたが、逆に院長から「君はセラピストに向いていない」と言われ、退職に追い込まれた。

 

③部長以下の3人が、1年前から口をきいてくれなくなった。向かいの机に座っているのに、連絡などもメモを机の上に置いたり、メールで伝えるようになった。他の部署の人にも色々と言いふらしているようで、挨拶をしても挨拶が返ってこなかったり、部外の人たちの態度が変わってきたように思う。

 

4)過大な要求

 医療事務のパート職員。上司から勤務時間内では到底処理することができない量の資料整理を指示された。パソコンが不得手なため休日出勤して対応しても処理しきれず、上司から「仕事ができないならもっと早く出勤するように」と言われ、その後は無視されるようになった。体調を崩してしまったので診療内科に行くと適応障害と診断された。

 

5)過小な要求、

 介護事業所の正社員。採用時の契約では介護サービス責任者として採用されることになっていたのに、自分より後に入った職員が自分が就くはずだった介護サービス責任者になった。その後、「正社員としての仕事ができていない」と嫌がらせをされるようになり、別の施設に異動することとなった。

 

6)個の侵害

 介護事業所の正社員。自分のより前から勤務している年上のパート職員から、「なんで正社員なんや」、「夫がいるのに稼ぎすぎ」などの暴言を吐かれる。