
・長時間過重労働はすべての職種・業種に広がっています。この過重労働は脳疾患・心臓疾患につながり過労死につながり、さらに、職場におけるハラスメントによって精神疾患に陥り過労自死を招いています。過労死防止法で、防止のための啓発教育の必要性が叫ばれていて、喫緊の課題となっています。
・2020年ごろから、ユニオンの拠点である茨木高槻の高等学校で出前授業にとりくみはじめ、現在(2025年)は普通課程高校3校、定時制高校1校、工科高校1、大阪市内高校1、兵庫県私立大学1に広がってきています。
・当初、「ワークルール」で労働基準法、高校生のアルバイトでの悩みに対応することを学習の中心にしてきましたが、働くことの悩みなどはネットで検索し知ることが安易になったことから、「非正規労働者のこと」「過労死過労自死のこと」「アルバイトから学ぶこと苦しんでいること」「過労自死寸前にまで追い込まれたユニオンの若いスタッフの話」などに学習の中心をスライドさせました。最近は、授業のはじめに『虎に翼』の一シーンをみてもらい、戦前女性たちが権利獲得のために闘ったことで、戦後「女性の参政権」を勝ち得たことから、働く者の権利、例えば8時間労働制などは与えられたものではなく、不断の闘いの成果であることを理解させることを授業の導入としました。
【関西学院大学ゼミ生の感想】
・最も印象的だった「8時間働けば生活できる社会をつくる」という考え方は、単に労働時間を短縮するという話にとどまらず、人間が人間らしく生きるための前提条件として重要だと感じた。日本では長時間労働が常態化し、過労死や自殺が社会問題となっているにもかかわらず、なお「自己責任」や「努力不足」といった価値観が根強く、非合理的な労働体制が放置されている。これほど長時間働いても社会が維持できないという事実自体にこそ、構造的な欠陥があるのではないかと指摘できる。
・今回の授業を通じて、実際には多くの人が劣悪な労働環境や職場でのハラスメントによって精神的に追い詰められていること、そしてそうした人々が誰にも相談できずに孤立している状況を知った。この現実に触れ、「自分には関係ない」と思っていた意識が変化し、労働問題は誰にとっても身近で深刻な課題であることを強く実感した。
・こうした問題に対して、授業で紹介された「サポートユニオン withYOU」のような地域密着型の労働組合の存在は非常に重要だと感じた。サポートユニオンは、雇用形態に関係なく、労働者一人ひとりが声を上げられる場であり、企業に対して団体交渉を行いながら、ハラスメントや不当な解雇といった問題に具体的な対抗手段を提供していることがわかった。
・「働くこと」は生きるうえで避けられない営みであるからこそ、孤立せずに相談できる場所の存在が、その人の人生や命を守ることにもつながる。サポートユニオンのような取り組みがもっと広く知られ、利用される社会になることの重要性を改めて考えさせられた。
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