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無期転換逃れ条項の撤回を/パタゴニアユニオン/ネット署名3万余を提出

CUNNメール通信N0.2347 2023年6月16日  情報・報告) 230617連合通信・隔日版

 ・地球環境や製造過程での人権を重視する米アウトドア用品大手パタゴニアの日本支社が、非正規社員に無期転換申し込み権を生じさせないよう、雇用上限を5年とする不更新条項を設けているとして、札幌地域労組パタゴニアユニオンが6月13日、撤廃を求める3万筆余のインターネット署名を同社に提出した。同日、都内で会見を開いた。

・同ユニオンによると、同社では2018年にパートなど非正規社員の雇用契約を最長5年とする運用を開始。翌19年4月に札幌市内の店舗でパートの販売員として働き始めた藤川瑞穂さんは、今年末の雇い止めをこのほど通告された。

・労働契約法では、有期雇用で通算5年を超えて働くことが確定した時点で、労働者は無期契約に転換できる権利を得る。

・札幌地域労組の桃井希生書記次長は「5年で切るのは脱法行為。誠実さのかけらもない。会社は『無期転換ルールに対応するため』と説明していたように意図ははっきりしている」と批判。さらに「会社は『人を入れ替えてフレッシュにするため』とも述べていた。(人権重視という経営理念に)欺瞞(ぎまん)を感じる。労働者の人権にも向き合ってほしい」と語った。

・藤川さんは昨年7月、仲間とともにパタゴニアユニオンを結成した。現在、正社員を含め各地に12人の組合員がいる。不更新条項の撤廃を求めるネット署名には2月から4カ月間で3万筆余が集まった。

・会社がかたくなな姿勢を続ける中、水面下では支援の輪が広がっているという。藤川さんは「各地の店舗で声をかけたりつながったりしている。パタゴニアは草の根の社会活動を支援してきた会社。心の中に生まれた思いを現実のものにしようと行動しているスタッフたちがいることに大きな力をもらっている」。今後世論への訴えを強める。

 

〈メモ〉

・無期転換ルールは、雇用の安定を目的に、民主党政権時に整備された。制定時の国会論議では5年直前の雇い止めが生じるとの懸念が示されていた。

・法施行後、雇用安定への一定の効果が表れている一方で、大手製造業などで約3年を上限とするなど、規制をすり抜ける動きが目に付く。

 

・施行から8年を経て、厚生労働省は運用状況を検討した。しかし、雇用上限と不更新条項を設けるという、あからさまな脱法行為への規制を見送っている。