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1,500円キャンペーン! 最低賃金 今年こそ大幅引き上げを!

6月最賃1,500円キャンペーンにとりくみます 2021/5/20 連合通信社

40道県が平均以下の最賃

最低賃金の改定審議の時期を迎えます。昨年の引き上げはわずか1円。一方、世界各国ではコロナ禍でも最賃を引き上げ、米国のバイデン政権は連邦最賃の15ドルへの引き上げを重要政策に位置づけています。日本の最賃は先進国では最低レベル。今年こそ大幅な引き上げが求められます。

 日本の平均は902円。他の先進国より低い上に、日本は都道府県ごとに設定する特殊な仕組みで、40道県が平均未満です。最も低いのは沖縄など792円。一般労働者の賃上げの重しにもなっています。

 近年3%前後引き上げてきましたが、昨年はコロナ禍を理由にわずか1円(引き上げ率は0・1%)にとどまりました。

 他の先進国を見れば、日本の異常さが際立ちます。英国では昨年、コロナ禍でも社会を支えるために働かざるを得ないエッセンシャルワーカーの多くが最賃水準で働いているとして、6・2%の引き上げを予定通り行い、今年も2・2%引き上げました。フランスは今年、0・99%、ドイツ1・6%、韓国は1・5%引き上げています(表)。

 

15ドル目指すバイデン政権

 バイデン米政権は今春、全ての州に適用される連邦最賃を、段階的に15ドルに引き上げる法案を連邦議会に提案しました。コロナ対策を優先させるため法案は取り下げましたが、引きつづき重要政策としています。

 現在の連邦最賃は時給7・25ドル(781円)。とても暮らせる水準ではありません。そのため、約半数の州がこれを上回る最賃を設定。カリフォルニアなど数州が15ドル(1617円)への引き上げを決めています。

 トランプ前政権は法人税を35%から21%に大幅に引き下げるなど、大企業にとっては有利な政策を次々に進めました。一方で、「労働者への還元」は乏しく、一部の巨大株主がもうけ、大企業の役員報酬が上がっただけでした。 

 15ドルへの引き上げは貧困層の所得を上げ、暮らしと働く者の尊厳を守る、大きな政策転換です。企業にとっても人材が定着し、地方経済も潤うという認識が基本にあります。

 

今こそ暮らせる最賃へ

 グローバル化の進展に伴い、賃金は低下し、不安定雇用が増えました。株主第一の経営で富の偏在が進む今、最低賃金は社会のセーフティーネットとしてその役割が期待されています。

 日本の最賃が先進国の中で低水準であることは、政府も認める事実。安心して暮らせる最賃に近づけることは、待ったなしです。