この裁判に勝訴しなければ障がい者の参政権は希望が持てない

2019/12/17 中田代理投票裁判結審

本裁判の争点

●この裁判の争点は、公職選挙法の「改正」によって自己の望むヘルパーの代筆が禁じた「改正」公選法は違憲だという訴えです。2013年、公選選挙法が改正されました。成年後見人制度の利用者が、選挙権を回復した権利擁護の法律でした。しかし改正審議は衆・参議院で1日ずつ、合計6時間の議論しかしておらず、実態も調査せずにしたために「大多数が投票所の事務従事者を使って投票している」と判断した内容でした。

●2016年、豊中市在住の中田康博さんは「事務従事者が有権者の意思が確認できない時は、投票が出来ない。事務従事者と有権者の間に誰も介在させてはいけない。」という法律の運用通知を知ります。その年に行われた参議院選挙の期日前投票では、従来の方法が認められなかったために、急遽豊中選管に申し入れましたが、認められませんでした。脳性麻痺の障害を持つ中田さんは、これまで調子のいい時は自分で投票用紙に名前を書き、悪い時は親、知人、ヘルパーの代筆で投票してきました。本来秘密投票が守られるのが最善の措置ですが、それが出来ない以上選挙権行使を阻害しない方法として、信頼できるヘルパーの代筆が認められるべきだと裁判に訴えたのです。

●「改正」公選法が出来た時に、障害者差別解消法が同時に審議されていて、国が合理的配慮をしなければ差別になるとして、3年間の周知期間がありましたが、その期間中に更なる公選法の改正は議論されませんでした。拙速な審議とミスリードそして不作為によって苦痛を受けたこと、民主主義の根幹をなす選挙制度から排斥される障がい者・高齢者などの投票弱者をなくすために中田さんは立ち上がりました。

 

裁判結審・報告集会

●12月17日(火)提訴して2年9カ月の裁判は結審されました。傍聴者は約40名、天気も悪かったので車いすの人は少数でしたが、午前中に行われた「森友裁判」の勝訴の熱気が傍聴席に溢れていました。

●その後に行われた報告集会では、大川、池田弁護士からは裁判の意義とりわけ大阪を中心に起きている障がい当事者の提起した裁判に多くの人が支援している動きに注目して、現状を変える力になっていると訴えました。原告の中田さんは、この裁判に勝訴しなければ障がい者の参政権は希望が持てないし、勝訴の判決を確信していると述べました。来年早々控訴しないように国に対して働きかけるように国会議員に対して要請行動を考えていると訴えました。また、障がい者にとって投票などの機会を奪われてきたため実際の投票体験が少ないので、豊中選管とも話し合って出前講座として模擬投票を行うことを協議中と紹介しました。(裁判勝訴と合わせて、そんな動きが各地で広がれば面白いなと思いました。)

 

判決は2020年2月27日(木)15時、大阪地裁大法廷で行われます。この日は大法廷が満員で傍聴者があふれるよう呼びかけをしていきたいと考えています。