働き方改革 時間外労働の規制

2018/3/14 東京新聞 働き方改革①

Q 働く時間はいま、どうなっているの。

A 労働基準法は一日の労働時間を八時間、一週間で四十時間と定めています。労使が時間外労働に関する協定(三六(サブロク)協定)を結べば超えること(残業)もでき、月四十五時間、年三百六十時間までとする基準もありますが、強制力がなく、実態は青天井です。

 

Q 今回の見直しは。

A 長時間労働を抑えるため、四月から残業時間に法的拘束力のある上限が初めて設けられます。法律に残業は「月四十五時間、年三百六十時間」と原則を明記。仕事が忙しい場合でも、単月で百時間未満、二~六カ月平均で八十時間以内、年七百二十時間以内と細かく制限しています。原則の月四十五時間を超えていいのは年六回までです。

 

Q 違反するとどうなるの。

A 企業側に六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金が科されます。ただ今回の上限に休日労働の時間は含まれません。含めると年九百六十時間まで残業が認められます。

 

Q 一歩前進だけど、それでも上限が高いね。

A 過労死を認定する際の基準は月百時間、二~六カ月平均八十時間。つまり今回の上限は「過労死ライン」と同じ水準です。これで不幸な過労死が防げるとは思えません。過労死遺族らは上限をもっと下げるよう求めています。

 

Q 上限はどんな職業にも適用されるの。

A いえ、研究開発職は適用が除外されています。ほかにも管理職、高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)、裁量労働制で働く人なども事実上、除外になります。過重労働が指摘される自動車運転、建設、医師などは適用が五年後。自動車運転は五年後も他業種より緩い年九百六十時間の上限です。医師は一部の勤務医を対象に年千八百六十時間を上限とする案も出ています。

Q 今後の懸念は。

 

A 業務量が同じなのに企業側が労働時間を減らそうとして、「持ち帰り残業」や「サービス残業」が増える恐れが指摘されています。