無期雇用転換ルールに関する大阪労働局との交渉②

「6ヶ月のクーリング期間でリセット」/「リセットビジネス問題」/「労働契約法18条の主旨違反」(2018/2/15労働局見解)

D 「6ヶ月のクーリング期間でリセット」 

① 新聞・テレビ等でクーリング期間の問題については指摘されている。

② 労契法182項で「クーリング期間」、いわゆる空白期間の問題についても法で規定している。

③ 通算の対象となる有期労働契約の契約期間が1年以上あれば6ヶ月、1年未満であれば、その直前の有期労働契約の契約期間の2分の1以上あければクーリングがきくという形になっている。

④ 問題がある、見直しの必要がある、法の改正という意見については、厚生労働本省にその旨、上申したいと思っている。

 

E 「リセットビジネス問題」

CU関西ネットから無期転換ルールの適用を免れることを目的とするようなリセットビジネスと呼ばれるものが拡大しつつあるという指摘を受けている。

20128月の改正労働契約法の解釈を示した、2012810日の厚生労働省通達では、こうした問題についても一応、歯止めをかけている。

③ 「クーリング期間が不適法に運用されている」「偽装的な派遣形態や請負形態を悪用することでクーリング期間が不適用な運用がされている」などの事実があり、調査を依頼、指導を求めるということであれば、必要な調査については大阪労働局で事実関係を確認した上で、啓発指導を行いたい。

④ 偽装請負や偽装派遣ということに関しては、派遣法の問題もあるので、大阪労働局の需給調整事業部ともタイアップをして、無期転換ルールの適切・円滑な運用に努めることとしたい。

 

 〈参考〉「使用者が、就業実態が変わらないにもかかわらず、労働契約法第18条第1項に基づき有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利(以下「無期転換申込権」という。)の発生を免れる意図をもって、派遣形態や請負形態を偽装して、労働契約の当事者を形式的に他の使用者に切り替えた場合は、法を潜脱するものとして、同項の通算契約期間の計算上「同一の使用者」との労働契約が継続している と解される。」

 

F 「労働契約法の主旨違反」

① 無期転換ルールの適用を避けることを目的とした、無期転換権発生前の雇い止め。

② 職務内容が変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させること。

③ 有期労働契約の満了前に、使用者が一方的に更新年限や更新回数の上限を設けたとしても雇い止めは許されない。(労働契約法19条)

④ 自分の生活圏から離れた異動、配置換えや異動、転勤をほのめかすこと。

⑤ これまで更新時に更新意思の有無だけを確認していた場合、地域限定や就業場所、営業場所が限定された労働契約が結ばれていると推認せざるを得ない。にもかかわらず、無期転換の話が出たとたん、唐突に転勤や異動を命じるのは許されない。

 

⑥ 賃金を上げる賞与を払うなど処遇を大幅に改善する交換条件として、営業所の異動や従事業務の変更を行うなど、ギブアンドテイクの関係があればいいが、賃金や賞与、退職金など処遇を上げないにもかかわらず異動等を命じるのは、無期転換を回避しようとする不当な動機や違法な目的があると取られても仕方がない。

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コメント: 1
  • #1

    マスティ (木曜日, 08 3月 2018 16:26)

    本日(3/8)、次のような朗報に接した。
    毎日新聞Web版に『長崎労働局 長崎県立大の無期転換逃れ、認めず』の見出しで、報道された記事は、「繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めにする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。・・・中略・・・雇い止めにする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。・・・中略・・・大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対処する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。・・・中略・・・
    早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回、東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。
    一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。」
    2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、昨年あたりから多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年=5年で雇い止め」に変更するところが多発した。
    このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいた。
    今回、長崎労働局が長崎県立大の「無期転換逃れ」を「社会通念上認められない脱法行為」と認定し、大学側に強い姿勢を示し是正させた意義は大きい。今後、全国の労働局で長崎労働局のような強い姿勢の対応が続けば、他の大学に大きな影響をもたらすものと思う。
    勿論「無期転換逃れ」の問題は大学に限ったことではない。今回の報道は、幅広い職種で契約更新を繰り返す非正規雇用の労働者に「闘うすべ」を示したものでもある。