ベトナムの青年への日本語学習を通した活動

技能実習生のトラブルの要因の一つに職場のコミュニケーションの問題があります。劣悪な職場の改善のためにも多文化共生の土壌をつくりださなければなりません。そのために、サポーターの協力を得て日本語教室にとりくんでいます。

 

■コロナ禍で仕事が減ったが・・・・ グエン ティ ゴック フェンさん(25歳女性)


・2019年7月、3年間の技能実習生として日本に来ました。ホーチミン市の近くのダラットに住んでいって将来ベトナムで花屋さんをと考えています。ベトナムの大学では農学部に行っていました。日本語を勉強したいと思いやってきました。

・茨木市で家庭や料理屋さんで使うお野菜を加工してパッケージに詰める仕事をしています。ベトナムの子が6人います。週に5回、昼12時から夜の9時まで働いていて、ときどき深夜まで働くこともあります。給与総額は22万円で社会保険と家賃水光熱費を引かれると手取りが16万円ほどです。私たちにボーナスがないので欲しいと思っています。ユニオンで給与明細を見てもらいましたが時間外や深夜勤務手当もあり問題はないが、最低賃金だそうです。

・ベトナムでは同世代は5万1円ほどしかもらっていないので、少しはベトナムに送って残りのお金を貯めて開店に使いたいと思っています。

・仕事で困っていることは、作業場が冷たいのでおトイレに行きたくなります。その時、「行ってらっしゃい」と上司が言ってくれるのですが、帰ってくるととても不機嫌で日本の人の感情がとても分かりにくいことです。また、重たい野菜を運ぶことがとてもつらいです。

・コロナでお仕事が減ったときはどうしようかと思いユニオンに相談しましたが、2月からは普通に戻ったので安心です。相談できる場があってうれしいです。

・毎日の生活の中で、会社の近くに私たちベトナム人6人が住んでいるマンションがあります。仕事場でも帰って来てマンションでも周りはベトナム人ばかりで日本語がうまくなりません。日本の文化にも触れられないのでつまらないです。

・日本語教室が茨木市で開かれていたのですが、コロナ禍で閉まっていて、ユニオンで週に一度来ることが楽しみです。


■ユニオンは拠り所・・・・  ズオン バン クエンさん(28歳)


・私の出身地はハノイから車で3時間ほど離れたタイビン省です。1992年生まれです。

・私は技能実習生ではない就労ビザで日本に来ていますが、その目的は日本語のN1をとることと、世界中で高技術のある日本のことを知るためです。

・私は建築関係の仕事をしていますが、そもそもの専門は建築です。会社は不景気で倒産してしまいました。現在の仕事は金型技師で、金型のメンテナンスや新規製作や組み立てです。その中で、フライス盤、ボール盤、旋盤、研磨機器を扱っています。こういう機器を使えることに幸せを感じています。

・職場の人間関係もコミュニケーションだと思っていますので、このユニオンの日本語教室がとても楽しみです。今は、職場でのトラブルはありませんが、こういう労働組合が身近にあるので安心です。


■日本語を教えているサポーターさんから(サポート組合員:岸洋一さん)


・私は、2020年2月以来、サポートユニオンに場所をお借りして、日本語ボランティアをしています。2019年10月から茨木市で日本語を教える機会を持っていましたが、コロナのため教室が閉鎖され、それまで教えていた方が、日本人と接触する機会をなくすることになっていけないと思ったことがきっかけです。現在、二人のベトナム人が日本語を勉強しています。

・私はアジア、アフリカの国々で30年ほど開発協力の仕事をしてきました。日本人がいないところで長い間暮らし、現地の人たちとお付き合いしてきました。そこでは多くの人びとが、好意的に外国人を理解し、生活に困らないようにと、彼らの言葉が分からない私と付き合ってくれました。こんな経験から、日本にいる外国人が、日本と日本人に興味を持ち、理解し、気持ちよく日本人と接する機会をつくることが、日本語に慣れ上達するチャンスを生むのではと思っています。

 

・言葉が異なり、文化の背景が異なる人々が共に暮らす多文化共生社会となりつつある現在、人として互いに認め合い、誰もが仲間(になれるという希望)として、他人と接することが日本社会には必要なのではないでしょうか。