「労災事故」の実態を調査へ/ウーバーイーツユニオン/補償と制度の 改善視野に

2020/1/15    CUNNメール通信 N0.1644

・スマホのアプリを使い、料理店と客、配達員を結びつける宅配サービス「ウーバーイーツ」で、仕事中の事故実態を調べる初の試みが始まる。全国ユニオンが支援するウーバーイーツユニオンと、東京労働安全衛生センターによる共同の取り組みだ。同社が昨年新設した「障害見舞金」制度が実情に合っているのかを検証するとともに、労災補償が受けられる法整備も視野に入れている。

・配達員は個人事業主と扱われ、労災保険の補償を受けられないでいる。昨年9月、同社は「障害見舞金」制度を作ったが、対象範囲は狭く、救済水準も低い。

・ユニオンは1月7日、都内で会見を開き、「配達員の仕事中の事故について、ウーバーイーツ側はその件数すら明らかにしていない」と述べ、実態を掘り起こす意義を強調した。川上資人弁護士は「配達員が事故に遭っても(労災補償の)コストを支払わなくていいとはどう考えてもおかしい」と同社を批判した。

・調査で明らかにするのは(1)事故の状況と被害実態(2)医療費など経済的損失と社内「傷害見舞金」制度の効果(3)労災保険との比較と見舞金制度の問題点(4)報酬体系など同社の報酬システムが事故を誘発するものになっていないか――などを挙げている。

・同ユニオンによると、事故に遭ったことを報告し補償を求めた配達員に対し、仕事
ができなくなる「アカウント停止」を告げる事例があったという。昨年末には報酬単
価の大幅引き下げも行われた。

 

・調査は同ユニオンのホームページ(https://www.ubereatsunion.org/)を通じて行う。事故当事者や家族、遺族の協力を呼びかけている。3月末まで行い、5月には分析結果を報告する予定だ。