歪められる道徳教科書 前川喜平さん茨木講演会

2018/4/28 ローズWAMワムホール ※文部行政が、安倍政権によってどれだけ歪められてきたかを、中枢におられた前文部科学事務次官、前川喜平さんにその真実を語っていただきました。

前川さんから学び、外国人労働者と切り結ぶユニオン運動・多文化共生をすすめます

はじめて、私が前川喜平さんお話を聞いたのは12月のキャンパスプラザ京都でした。日本の労働人口が激減していく中にあって多文化共生は避けて通れない事実。地域コミュニティも外国人労働者、移住者などニューカマーの人々との共生が迫られていると話され、神社の秋のお神輿も一緒にかつぐような意識革命が必要だと言われたことに感銘を受けました。

こうした感動もあり、私たちユニオンも積極にかかわる「教科書問題を考える北摂市民ネットワーク」で、前川さんの話を聞こうということになりコンタクトを取り実現にこぎつけることができました。2006年、第1次安倍政権は憲法の理念を実現するための礎であった教育基本法」を改悪し、その規範を、「個人の尊重」から「家族・家・地域・国」へと180度転換しました。そして、2015年、道徳が徳目にそって子どもたちを評価する教科に変質しました。文部行政が、安倍政権によってどれだけ歪められてきたかを、中枢におられた前文部科学事務次官、前川喜平さんにその真実を語っていただきました。(SM

 

前川さん、清々しさと軽妙なタッチで聴衆を魅了

アベ政権の粗野な言質に慣らされた国民からすると、立憲主義と豊かな教養に裏付けられた元官僚の会見をテレビで初めて見聞きしたとき清々しい驚きを覚えたことはまだ記憶に新しい。それから約一年。各地の講演会に引っ張りだこの前川さんは官僚時代と同じ濃紺の背広で現れた。軽いジョークも交えながら、私たちがお願いしたテーマに沿ったわかりやすいお話だった。(IK)

 

歪められる道徳教科書 復活する教育勅語 要旨(まとめIK)

まず教育勅語は1890年(明治23年)に起草された忠君愛国の儒学的道徳の創作物語であると紹介。それが國體明徴運動として特に国民に強制されるようになったのは中国侵略が本格化した1930年代だったそうだ。昨今教育の戦前回帰が著しいが、戦後一貫してその流れはずっとあった。石橋湛山や小渕恵三など平和主義や個を尊重する政治家も現れたがそういう人に限って短命。戦前の体制が充分に精算されなかった日本のあり方こそが問題だ。

ここで高村光太郎の話。戦意高揚の詩を書き続けた光太郎は天皇崇拝の祖父・父・自分を「三代を貫く特殊国の倫理」と厳しく断罪した。しかし政治家には光太郎の自己否定はない。天皇機関説の美濃部達吉の論敵上杉慎吉東大教授の教え子だった岸信介は湛山の後首相となり、道徳の時間新設と教育委員会の任命制化、血盟団事件の四元義隆の弟子の中曽根康弘は教育基本法改悪を目指す。そして「三代を貫く特殊国の倫理」の安倍晋三。

痛恨の教育基本法の改悪・道徳の教科化。愛国心や規律の重視など教育が入ってはいけない部分・国が決めていい範囲を超えてしまった。

 

立憲主義の道徳とは、市民原理を学ぶこと。憲法にある個人の尊厳・自由・自立を学ぶこと。現場のみなさんには、考えること・議論すること・色々な立場になって考えることを大切にする授業を目指してほしい。ということでした。