立憲民主は長時間労働規制で過労死・自死防止を意識

2018-4-6 東京新聞

・立憲民主党は五日、政府が六日に閣議決定する「働き方」関連法案の対案を発表した。政府案に比べて残業時間の上限規制を厳しくし、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の創設を削除するなど、労働者保護を強く打ち出した。 (木谷孝洋)

・自民党は五日、臨時総務会を国会内で開き、「働き方」法案を全会一致で了承した。与党政策責任者会議でも大きな異論は出ず了承した。

・立憲民主は五日の政調審議会で対案の概要を決定。長妻昭代表代行は記者団に「労働法制は働く人の健康と権利を守る『最後の砦(とりで)』。規制すべきところはする」と語った。民進、希望両党は合同で条文化の作業を進めていて、三月に対案の中間案を発表した。

・政府案と立憲民主案で大きく異なるのは、残業時間の罰則付き上限規制だ。政府案では年間七百二十時間とし、繁忙期には一カ月で百時間未満、二~六カ月平均で八十時間以内とした。ただ、七百二十時間には休日に出勤した時間を含まないため、最長で九百六十時間の残業が可能となる。過労死遺族らは「これでは過労死を防げない」と批判している。

・立憲民主の対案では、年間の残業時間の上限は設けず、一カ月で八十時間未満、二~六カ月で六十時間未満とした。厚生労働省が過労死の認定基準の一つとする「一カ月で残業百時間」を下回る内容。民進・希望案は経団連と連合の合意を尊重し、残業時間の上限規制は政府案と同程度とした。

・長時間労働を助長するとの指摘がある残業代ゼロ制度の創設は、立憲民主、民進・希望のいずれも削除した。

・立憲民主案では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間を働いたとみなす裁量労働制に関して導入手続きの厳格化や健康確保措置の充実など不適切な運用の防止策を盛り込んだ。

 

 

<高度プロフェッショナル制度> 

・高年収の一部専門職を労働時間規制から外す制度。政府は年収1075万円以上の研究開発者やコンサルタントなどを想定している。経済界は「時間に縛られない働き方ができる」と主張するが、労働時間の上限を原則1日8時間、週40時間などとする規制が適用されなくなり、残業代はなくなる。「長時間労働を助長する」との批判がある。