茨木市「共に生きる条例(案)」で、活発な議会論議!

2018/3/7 茨木市議会3月本会議議案審議傍聴記録

・「茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例の制定について」の議案審議が3月7日(水)13:00から約2時間にわたり行われました。発言されたのは、山下慶喜さん(新社会)、青木順子さん(公明党)、米川勝利さん、朝田充さん(共産党)、稲葉通宣さん(民進ネット)の5人の議員が質問、意見を述べられました。(申し訳ありませんが、写真は山下さんのみです)

・共通していたのは、条例案については、条例制定への積み重ねた議論を高く評価しながら、補強する観点で質問がされていましたことです。

 

〈担当部局とのやり取りで判明したこと〉

①この条例は、2年間で先行した兵庫県明石市、宝塚市の条例を参考にして作られたものですが、2市においては、「障害者差別解消条例」「手話言語条例」(名称は違いますが)として別々に制定されました。しかし茨木市は2つの性格の条例を包括的、総合的にまとめられ、かつ合理的配慮の提供に関しては事業所に努力的義務でなく義務付けているように法律を上回る優れた内容になっています。

②山下議員、朝田議員が指摘されたのは、明石市で全国唯一制定されている「成年後見任用確保条例」(成年後見制度や保佐制度を利用しても、職員として採用されるし失職もしない)の内容を追加すべきだとして質問されていました。

・山下議員は、2年前の議会で同様の質問をされた時に、福岡洋一市長は「明石市の条例について研究していきたい。」と述べられていたこと、今条例案に関して募集されたパブコメのなかに、追加すべきであるという4件の意見(ユニオンのパブコメ含む)があったことを根拠に意見を述べられましたが、「市の職員の任用に係る条例になるので、この条例にそぐわない。」という姿勢を崩さず、福岡市長から「欠格条項は撤廃すべきである。」「成年後見任用確保条例を新たに作る。」という表明がありませんでした。

・朝田議員は、欠格条項(成年後見制度利用者が一部の職業に就けなくなる規定)の問題解決を促す意味からも、今条例に入れるべきである指摘されていました。

・報道では、今国会で欠格条項を全廃する法案を提出する動きになっています。しかし国会の論議の先行きは、不透明ですし、地方から解決を促す動きを起こすのも大事な時期になっています。優れた条例案をまとめ上げた茨木市が、「欠格条項」問題には逃げ腰になってしまっていることは残念でした。

②条例制定に伴う施策として、合理的配慮の提供に係る事業所への助成制度は、300万円の予算措置がとられています。この措置は明石市にありますが、宝塚市では削られたものでした。また手話通訳派遣の人数が、この3年間で1300人から2268人と急増しています。聴覚障がい者の高齢化に伴う通院での必要性が高まったことも増加の背景にあるようです。手話は言語ですから66時間の講座を受講することや通訳者になるためには難関で合格率も低いというハードルが高く課題もたくさんあります。条例では、多様な意思疎通手段の普及を掲げていますが、具体的な施策の推進が求められます。

 

〈活発な議論が市民の生活を豊かにする〉

・今後、合理的配慮の具体化や、あっせんなども問題で、市役所の担当課だけではなく「新設・相談支援課」との連携も必要になると感じましたが、条例を制定することで、議会でも様々な観点で議論が起きています。解決する課題はたくさんありますが、少なくともその課題は可視化されます。

 

・吹田市長のように「障害者差別解消法があるから条例は必要ない。」という姿勢では共に生きるまちづくりの議論は起きません。茨木市において、今後さらに活発な議論の展開を期待しています。(OT)