連合通信社 特集:雇用されない働き方でもうかるのは?

●配達員は同社にもお店にも雇われていません。どういうことなのでしょうか?
・配車アプリで有名なウーバーが展開する料理配達専門ウーバーイーツ(UberEATS)
・周辺の登録されたお店のメニューを注文すると約30分で指定した場所に配達してくれます。
・日本では2016年9月から都内中心部でサービスが始まり、500を超えるお店が登録されました。
●配達員は労働者ではない!?
・配達員はウーバー社と個人事業主契約を結んで働きます。報酬は1件ごとの手数料とお店から配達先までの距離に応じた手当、エリアや混雑時間帯の割増などで算出されます。
・配達手段は貨物自動車運送事業法が適用されない自転車か125cc以下の原付バイクですが、同社からは車両も保険も提供されません。自分で用意するか、同社提携のレンタサイクルを利用します。事故を起こせば全てが自己責任。こうしてコストを抑えることが、同社のもうけの源泉です。
●「仕事がない」とつぶやき
・ウーバー社のホームページには、配達員の受け取る料金として、2キロメートルの配達1回で770円、1軒のレストランから複数の配達先へのお届けで1015円といった例が紹介されています。
・しかし、配達員のツイッターでは「仕事がない」「報酬が計算と違う」など不満を訴える投稿も。
・9月に開かれたライドシェア問題の集会で配達員は「日給3万円の広告を見て応募したが、実際は歩合給で、最賃ギリギリの水準。GPSで監視されていて、呼び出しにすぐ応じないと仕事がなくなる。労災も適用されない」と実態を語りました。
●欧州ではサボタージュも
・ウーバー社のようなインターネットを介した単発の仕事はギグエコノミーと呼ばれ、世界中で急速に増えています。
・英国では、労働組合が中心となって、同種の会社で働く配達員の賃上げと傷病休暇を要求。登録店の店長から賛同署名を集めました。ドイツやイタリアでも呼び出しに応じないサボタージュやストが起こっています。共通しているのは「生活できる賃金を」の要求です。
●ウーバー的働かせ方の拡大狙う「働き方改革」
・安倍内閣は「働き方改革」で副業を推進しようとしています。
・呼応するかのように、ウーバーイーツは配達員募集サイトで「空いた時間に稼げる」とアピールを始めていますが、この手の副業は長時間労働や不安定雇用の温床になりかねません。
・厚生労働省は10月24日、「雇用類似の働き方に関する検討会」を開きました。ギグエコノミーなど個人事業主の「柔軟な働き方」の当事者から聞き取り調査を行い、促進に向けた法整備の必要性を検討する方針です。
●労働者保護の規制強化を
・ウーバーイーツの配達員に似た働き方にいわゆるバイク便があります。厚労省は2007年、指揮命令や拘束性などを総合的に判断した結果、バイク便での働き方を労基法上の労働者であると通達しました。
・同社の配達員はじめ、ギグエコノミーで不安定な働き方の人にも、既存の判断基準を踏まえた労働者保護の規制強化を求める必要があります。
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