厳しい「非正規・未婚」…低収入で不安定な暮らし

2016/4/5 読売新聞

女性労働者の約6割は、パートや派遣社員などとして働く非正規労働者だ。主婦層が主だが、子どものいない未婚女性も増えつつあるという。低収入で不安定な暮らしの中、将来に希望を持てず、孤立する人も多い。

 

いいように使われ

 神奈川県内で母親(70)と暮らす女性(45)は、契約社員として約10年勤めた保険会社を昨秋、辞めた。

 正社員より低賃金だが、育児中で時短勤務だったり急に休んだりする正社員女性を支え、残業もいとわずに働いてきた。だが、体調を崩し、休みを申し出ると、上司は「忙しいのに」と渋った。「いいように使われる立場に疲れてしまった」

 女性は短大卒業後、正社員として9年働いたが、不景気で希望しない職場に出されたことから離職。その後は保険会社の契約社員のほか、派遣としても働いた。今は事務のバイトだ。結婚願望がなかったわけではないが、「女性の多い職場で出会いがない。仕事の疲れが取れず、週末は寝て過ごすことが多かった」と話す。

 労働政策研究・研修機構によると、35~44歳の非正規未婚女性は、2002年の16万人から12年には43万人に増え、その後も増加傾向という。特に最近は、大学卒業時に正社員になれず、非正規のまま今に至る女性が目立つ。

難関私大卒も…

 難関私立大学を02年に卒業した東京都内の女性(36)はその一人。卒業時が就職氷河期で、約100社に履歴書を送ったが内定がもらえず、派遣の仕事を選んだ。以来、交通費も賞与も退職金も出ない、2~3か月更新の仕事を続けてきた。

 正社員を目指し、独学で簿記などの資格を取得したり、英語力に磨きをかけたりと努力した。でも、企業の面接担当者には「遊びたいから派遣なんでしょ?」と突き放された。「正社員で働く友人と比べて、社会経験の少ない自分に自信が持てない」とうなだれる。

 都内の4畳一間のアパートで一人暮らしをする女性(39)も、正社員経験がない。指圧マッサージの資格を生かして7年間バイトをしたが、体調を崩して離職。その後は派遣や短期のバイトでしのいできた。

 今は出版社の営業補助として派遣で働く。手取りは月15万円、ゴミ捨て場で拾った上着を愛用する。「貧困すぎておしゃれどころでなく、『女子力』は下がる一方」とこぼす。

 労働政策研究・研修機構の高橋康二さんは「若い非正規女性は以前からいたが、いずれ結婚する、とあまり問題にされてこなかった。しかし、非婚化、晩婚化を背景に35歳以上が増えている」と話す。非正規のため十分な経験を積めず、低収入のままで、病気をしたり親が要介護となったりした途端、生活が立ちゆかなくなるリスクも高い。「正社員として働けるよう、資格取得とその期間の生活補助をセットにした支援策などが必要だ」と高橋さん。

 横浜市男女共同参画推進協会の植野ルナさんは、「今の若い男性は、結婚相手にも一定の経済力を求める傾向があり、非正規というだけで対象者から外れてしまう」と説明する。

 同協会は「非正規で働く未婚女性は周囲に頼る人もおらず、孤立しがち」とし、彼女らが自由に集まり、悩みや不安を語り合える場作りをしていく予定だ。

3割が仕事掛け持ち

 非正規の未婚女性の生活は苦しい。

 横浜市男女共同参画推進協会などが2015年10月、全国の35~54歳の非正規未婚女性に行ったインターネット調査(261人回答)によると、今の年収は「150万円以上250万円未満」が39.8%、「150万円未満」が28.4%だった。年齢が上がるほど、150万円未満の割合が高まった。

 また、回答者の3割が仕事を掛け持ちしていた。最初の職から非正規だった人は、全体では47.9%だが、35~39歳では7割以上に達した。

 

 非正規で働く理由(複数回答)では、「正社員として働ける会社がなかった」が6割で最多。「収入が少ない」「解雇・雇い止め」「老後の生活」などの不安や悩みが目立った。(板東玲子)

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